女性銀行員の横領事件は誰のモノ(「紙の月」角田光代)
一昔前に、一人でご飯食べてる時や休憩中に、本を読みたくないという同僚がいた。
する事がない人っぽく見えるから、という理由だった。
休憩中だから、早速、本を読もう!とか思っていた自分にしては
かなり驚く話だった。
女性銀行員の横領事件は、ドラマや小説でわりとテーマとして取り上げられてきたと思う。大体が、実際の話通り、理由は男の為に工面しちゃうわけなんだけど、数年前に米倉涼子がやった「黒革の手帳」は小説とは別にして、また良い作品だった。私が、ハッとさせられたシーンがあったからだ。
お金を横領したのがばれて、支店長と上司が連絡をしてくる。
銀座の喫茶店かどこかで、「今なら上に言わずに容赦してやるから、早く金を返せ」と言ってくるのだけど、それに対して「初めて私の目、見てくれましたね」と返すのだ。
若い時、そうだったなあ、と。
自分含めた女子社員が「女の子達」と呼ばれてる事や、飲み会で上司のおじさんの横に配置させられる事を不思議に思わなかったけど、あれは原作にあったセリフだとしたら、清張はどこから拾ってきたんだろう。